2017.04.14切削
【倍速加工の基礎知識】レポート
4月14日、呉信用金庫人づくりセンターにおいて、
講師に株式会社タンガロイ マーケティング本部 スキルアップセンター 主任
金井慎一氏をお招きし
「倍速加工~旋削、転削、穴あけとトラブルシューティング」をテーマに行いました。同セミナーには7社13名の参加があり、倍速加工の基礎などを学びました。
製造コストの削減と倍速加工には関連があります。コストを細分化すると直接費といわれる「材料費」が22%と「工具費」が3%の合わせて25%、ランニングコストと呼ばれる「機械設備費」が26%、「人件費」が28%、「一般管理費」が21%の合わせて75%を占めています。製造コストを下げるにはわずか3%に過ぎない「工具費」を圧縮するよりも、加工能率を改善し生産性を上げたほうが効果的です。そのためには、同じ時間内で安定してより多く合格部品を作ることです。
具体的な手法が①加工時間の短縮②加工していない時間(ダウンタイム)を無くす③加工不良の撲滅です。
加工時間の短縮には送りの速度を上げる「高送り」が行われています。
高送りに適した工具を使うことで仕上げ面の品位低下を抑えることができます。例えばさらい刃(ワイパー)付きのインサートで切削することで、送りを2倍にしても加工面粗度を1/2にすることができます。
インサートの損傷を抑制するには、高圧クーラントをすくい面と逃げ面の2方向から供給することが有効です。
発熱を抑えながら切りくずを分断し逃げ面の摩耗を防ぐことで、工具の長寿命化と寸法精度維持ができます。
穴あけ加工は、折損、欠け、精度不良などトラブルが起きやすい加工なので、剛性や馬力が高く精度の高い設備の使用することが必要です。
ホルダに使われているナットやコレット、テーパー部の傷や汚れ、錆などが無いか定期的にチェックし、工具取り付け精度の確認などの作業を随時行うことが重要です。
参加者からは、「クーラントを改善したかったので高圧クーラントの効果を知ることができ参考になった」、
「コストダウンについて社内で検討していたのでとても勉強になった」、「最新の工具を使った加工がビデオで見られたのが良かった」、「自社で行っていない加工方法の紹介がありぜひ検討してみたい」などの感想をいただきました。